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개설일 : 2003/08/28
 

RSメッセージを受け取ったルーターからは,Router advertisement(ルーター・アドバタイズメント/RA:ルーター広告)メッセージの形で応答が戻ってくる(図2の(B)と図4のNo.28のパケット)。このRAメッセージには,そのリンクローカルで使っているプレフィックスの情報が入っている。RAメッセージを受信したVistaパソコンでは,そのプレフィックスとインタフェースIDを組み合わせてグローバル・ユニキャスト・アドレスを生成する(図2の(C))。

 このグローバル・アドレスの生成と並行して,図1(2)で「一時IPv6アドレス」となっているアドレスも自動的に割り当てられる(図2の(D))。一時IPv6アドレスとは,プライバシーを保った通信をしたいアプリケーションが一時的に使用するものである。一時IPv6アドレスの前半64ビットは自動構成で得たプレフィックスを使い,後半64ビットには短期間で使い捨てられる有効期限の短いランダムなインタフェースIDを組み合わせる。

プレフィックスからグローバル・アドレスを生成

 正式なリンクローカル・ユニキャスト・アドレスが決まったら,次にそのアドレスを使って,図1(1)の「IPv6アドレス」を生成する。

 図1の(1)でIPv6アドレスとして表示されているアドレスは,一般的には「IPv6グローバル・ユニキャスト・アドレス」と呼ばれているもので,インターネット上でつながった世界中のコンピュータとユニキャストで通信するために使用する。画面表示で「IPv6アドレス」となっているように,単にIPv6アドレスといった場合には,一般にグローバル・ユニキャスト・アドレスを指す。

 VistaのIPv6グローバル・ユニキャスト・アドレスは,自動構成で取得する「プレフィックス」と,リンクローカル・ユニキャスト・アドレスと同じインタフェースIDを組み合わせて構成する。プレフィックスを自動構成する方法はいくつかあるが,VistaではこのうちIPv6のRouter solicitation(RS:ルーター要請)メッセージを使う「ステートレス・アドレス」と,DHCPv6を使う「ステートフル・アドレス」の二つの方法が使える

この3種のアドレスのうち,最初に割り当てられるのは(3)のリンクローカルIPv6アドレスである。これは「IPv6リンクローカル・ユニキャスト・アドレス」といわれるもので,文字通りルーターを越えない同一LANの範囲内での制御用の通信のみに使うアドレスである。

 リンクローカル・ユニキャスト・アドレスは,リンクローカルであることを示すプレフィックスとなる前半64ビットの「fe80::/64」に,64ビットのインタフェースIDを組み合わせた形で構成されている。このインタフェースIDの部分は,VistaまでのWindowsではLANカードのMACアドレスから自動生成するようになっていた。だが,VistaからはOSがランダムに生成した値を使用するように変更されている。これは,IPアドレスからMACアドレスの情報が知られることを防ぐための変更である。

Vistaの目指すネットワークの姿(1)--IPv6が標準プロトコルに昇格

 Vistaの登場から,すでに1年以上が経過した。Vistaの普及状況についてはいろいろな報道があるが,これから徐々に広まっていくことは間違いないだろう。今春にはサーバーOSの新版である「Windows Server 2008」のリリースも控えている。今回は,VistaやServer 2008といった新しいWindowsが普及すると,これからのWindowsネットワークがどのように変わっていくのかを探ってみよう。

 Vistaには,今回の連載で見てきた内容をはじめとして,ネットワーク機能に多くの変更が加えられている。中でもWindowsネットワーク全体に大きく影響を与えそうな変更点は,IPv6への標準対応だろう。VistaはIPv6に標準対応したはじめてのWindowsである。

VistaではIPv6に“本気”で対応

 Vista以前のWindows 2000やXPでもIPv6を使用することはできた。ただし,標準では組み込まれず,ユーザー自身が手作業で追加インストールを実行する必要があった。IPv6関連の設定に関しても,コマンド・ライン・ツールを使って実行するしか方法がなく,お世辞にも使いやすいものとはいえなかった。これらのWindowsでは,IPv6はあくまで追加コンポーネントという扱いで,TCP/IP向けのツールやサービスについてもIPv6には対応していないものが多かった。

 これに対し,VistaはIPv6時代の到来を先取りしてIPv6に標準対応した。ユーザーはインストールや設定などの作業を改めて実行しなくとも,IPv6での通信が可能な状態になる。起動しただけで,これまで広く使われてきたIPv4と並んで,自動的にIPv6アドレスが割り当てられる。実際に,Vistaのコマンド・プロンプト上でipconfigコマンドを実行してみると,割り当てられたIPv6アドレスが確認できる(図1)。

GUI画面からだれでも簡単に使えるため,Windowsネットワークはオフィスを中心に幅広く使われています。Windowsネットワークが登場して以来,Windows 9x,Windows NT,Windows 2000,Windows XP,Windows 2003,Windows Vista,Windows 2008など,さまざまなOSが提供されてきました。新しいWindowsが次々と出てきても,Windowsネットワーク上ではバージョンの違いをほとんど意識することなく,いつも同じように利用できます。

 このため,Windowsネットワークを使っている際に,その変化を意識することはなかなかありませんが,Windowsネットワークは常に進化してきています。特にWindows Vistaが登場してからは,IPv6への対応をはじめWindowsネットワークに大きな変化が生じています。マイクロソフトでは,こうした新しい機能を追加する一方,それまで使われてきた通信についても継続できるように既存機能も提供し続けるといった工夫を常に実施してきました。結果として,Windowsネットワークは使いやすい操作性の裏側で,実現するための仕組みは非常に複雑なわかりにくいものになっています。この連載では,実際にネットワーク上でやりとりするパケットの中身を見ながら,最新のWindowsネットワークの仕組みを解剖していきます。

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